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「COVID-19重症患者における年代別の理学療法経過」海老 耕大先生

更新日:2023年2月24日

 この度、学術誌「理学療法学」第49巻第1号に、大阪急性期・総合医療センターの海老 耕大先生の短報論文「COVID-19重症患者における年代別の理学療法経過」が掲載されましたのでご報告させて頂きます。

 

 海老先生はコロナ感染症が日本で初めて確認された2020年から現在においても、大阪急性期・総合医療センター及び大阪コロナ重症センター内レッドゾーンにて、毎日PPEを装着し、医療用スクラブが搾れるくらいびっしょりの汗を掻いて、コロナ感染症患者さまの理学療法に真摯に向き合っておられます。レッドゾーン内で患者さまと密接になる理学療法場面では、患者さまを救うことはもちろんのこと、自分の身も守る必要があり、今まででは考える必要のなかった精神的なストレスも非常に高い状況にあります。また、第〇波と言われるような患者さまが溢れかえっているような時期では、理学療法が十分提供できるような環境にない場面も多く、今まで経験のない臨機応変な対応を迫られることもあります。

そんな肉体的にも精神的にも満身創痍な状況下でも、海老先生は、コロナ感染症重症者の理学療法経過を世の中に出すことは当センターの責務と考え、論文執筆をされたそうです。

是非ご覧頂き、今後のコロナ感染症の理学療法に活かして頂ければ、嬉しく思います。

                        


以下、海老先生との対談の一部です。


Q:レッドゾーン内での理学療法で一番大変なことは?

海老:セラピスト自身の体力消耗かと思います。今まで6度の流行期を経験しましたが、PPEを装着してのリハビリテーションは暑く、疲弊します。同じユニット内に1-2時間缶詰状態になること、コロナ重症者の特徴でもある高度肥満患者の対応や安静な呼吸器管理のため鎮静管理された患者の早期離床は介助量が多いです。その分、身体的にも精神的にも疲弊します。今もなおコロナ患者の対応をしておりますが、できるだけセラピスト間で対応患者を分担しながら日々取り組んでいます。



Q:コロナ感染症重症者の理学療法の特徴は? 

海老:早期離床、廃用予防を目的とした介入が多いかと思います。コロナに罹患し重症化する患者様の特徴としては元々のADLが自立されている方が多い傾向にあります。ただし肺保護や安静な人工呼吸器管理を目的とした鎮静管理を強いられますので、廃用予防やベット上での早期離床に取り組むことが多いです。もちろん急性期治療を行っている中でのリハビリテーションというところでリスク管理は重要ですが、侵襲的な治療を受けない希望の方、呼吸状態が非常に厳しくなり緩和的な介入になることもあります。その都度、どのように接するかということも考えなければいけないかと思います。



Q:区内にある、アフターコロナで理学療法を担当する会員へのメッセージ

海老:まず、隔離病棟で同じようにリハビリに取り組んでいる諸先生方に対してですが、もし対象患者さんと会話できる状態であれば、とことん色んな話をしてほしいと思います。外気をシャットダウンされ、隔離された空間はすごく暗く、独特な空間です。また、防護服は目元しか見えず、表情がわかりにくいです。医師や看護師も対応に追われているため、恐らくしっかり話せるのはセラピストであり、その関わりも重要かと思います。

アフターコロナという形でさまざまな患者様の対応をされると思いますが、呼吸器管理を要した経過があること、既往として呼吸器疾患がある方は特に介入に難渋するかもしれません。しかし元々のADLが高い方もおられることから、動作能力は高く改善していくことも多いはずです。このような背景からコロナ重症患者に対しては、やはり長い視野を持ってリハビリ介入をするというところは、視野に入れてほしいと思います。

最後になりましたが、回復期病院や療養型、施設等のご協力ご尽力あっての急性期治療であり、理学療法介入であると思います。今後も連携を図りながらコロナウイルスに向き合っていければと思っております。

                                   以上



海老先生、お忙しいところ有難うございました。


大阪急性期・総合医療センター

奥野 友和





https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/advpub/0/advpub_12123/_pdf/-char/ja

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